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円安と日本企業のグローバル戦略の変化【コラム】


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 一昔前の中小企業の海外進出の目的といえば製造コストの削減か顧客企業への追随でしたが、円安のせいで状況が変わってきているようです。円安を活かすとなると、答えは明らかですよね。

為替に大きく左右される企業のグローバル戦略

 2011年10月、ほんの3年前の出来事です。我が国の通貨は1ドル76円以下の市場最高値を記録しました。その頃の弊社への問合せや依頼は「製造拠点のアジアへの移転」、「欧米からの製品の輸入」等、円高を活かしたコスト削減策が多かった記憶があります。

 しかし、その潮流は2013年に入り変化し、そして2014年10月31日の日銀の量的緩和の影響によって確かなものになりました。今、完全なる円安傾向に入り、アメリカの景況感を考えると、しばらくそのトレンドは変わらないと考えてもよさそうです。となると、日本企業のグローバル戦略も円安を活かしたものに変わっていくはずです。

 実際、1ドル110円を超えたころから輸出を前提とした海外市場での販路開拓の問合せや依頼が増え始めました。いったい1ドルいくらまで行くのか誰も知る由もありませんが、例えば1ドル150円になってしまえば、同一製品を3年前の半額で海外市場へ提案できるようになるのです。そのインパクトは計り知れません。

先行きが不透明な日本と成長する海外市場

 日本市場はというと、11月17日発表の速報によると今年7-9月期のGDPは名目で0.8%のマイナス、年率で換算すると3.0%のマイナスになりました。消費税の追加増税は先送りになりそうですが、それでも先行きは不透明です。厚労省が11月6日に発表した勤労統計調査速報によると、9月実質賃金は前年比‐2.9%とのことです。物価は上がるが賃金は上がらないというスタグフレーションに突入してしまったのではと思える状況です。

 一方、世界経済は完全にアメリカが牽引している状況となっています。効果的な経済政策とシェールガス革命の影響により、現在では一人勝ちの様相を呈しています。そもそも世界最大のGDPを誇り、移民により人口も安定成長しているため、サブプライムのようなろくでもないことさえしなければこの国の経済は強いはずなのです。

 また、新興国市場は原油安の影響で不安定な状況が続いています。東南アジア経済に減速感がありますが、とはいえ各国とも年率5%以上のGDP成長率を維持しています。人口も増加し、賃金も上昇していますので、これからは日本の製品やサービスを売る市場として有望と考えられます。

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今こそ輸出による成長戦略を

 円安、低迷する日本市場、成長する海外市場とくれば、今こそ輸出による成長戦略を採るべきです。海外への工場移転と比較すれば遥かにハードルは低く、買い手が見つかり、貿易の手配さえできれば中小企業でも手軽に挑戦できます。

 社内に英語や貿易が分かる人材が居なければ、はじめはアウトソーシングから開始することも良いアイデアです。業務は概ね①取引先候補を探す、②取引先候補と商談して契約する、③取引先との受注窓口をする、④取引先へ出荷するという流れです。部分的に外注することも可能ですし、ワンストップで対応してくれる企業に任せるという手もあります。弊社ではワンストップで全ての対応も可能ですし、最初のステップとして海外販路開拓のサービスを提供しております。

 もうすぐ2014年も終わりますが、2015年が貴社にとっての貿易元年になり、大きな成長につながることを祈念致します。

2014年11月
長谷川 靖志