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東南アジア市場の魅力【コラム】

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 市場の成長性を予測する時、人口動態が有力な手がかりとなります。かつてドラッカーが「既に起こった未来」と述べたように、20年後の20歳人口は現時点でほぼ予測することが可能であり、その数がその国の消費需要と労働力に大きな影響を与えるからです。

 そこでアジア諸国の人口データを見てみましょう。

<2010年の人口データ>
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出展:総務省 統計局 世界の統計2011、ジェトロ J-FILE

 この数年、中国市場が注目されいた理由はこの人口です。以前は人件費の安い工場移転先として見られていましたが、沿岸部の平均所得の増加に伴い世界有数の消費地として見なされるようになりました。そして、近年では次はインドという見方がされています。
 しかし、人口とともに注意しなくてはならない点が中位年齢です。中位年齢とは、人口を年齢順に並べて、その真ん中で全人口を2等分したときの境界点にある年齢です。この中位年齢が市場の長期的な成長性に影響を与えます。中国は既に30代半ばに差し掛かっており、今後は一人っ子政策の影響で高齢化が急ピッチで進むと予測されています。そうなると、現在の日本と同様に市場はシュリンクしていくでしょう。
 その中国と比較すると、東南アジア諸国の中位年齢は20代が中心と若く、今後も人口の増加が予測されます。一人あたりGDPもまだまだ低く、伸びしろは大きいことが分かります。ちなみにこの表にはありませんが、人口約500万人のシンガポールの一人あたりGDPは日本を超えています。そしてこのシンガポールを中心として、東南アジアの経済は急成長をしています。ASEAN自由貿易地域という国際ビジネスをし易い環境が外国資本を多く呼び込んでいることも成長の一因と思われます。
 それでも当面は中国が世界で最も魅力的な市場であり続けるとは思います。しかし、長期的に見れば、中国の特異な環境(言語・政府・ネット等)への適応を図るよりも、ケースによってはASEANへ進出する方が投資対効果が良いかもしれません。特に大きな初期投資が困難な中小企業にとっては、ASEANの方が最初の一歩を踏み出しやすい市場のように思われます。

2011年10月
長谷川 靖志